2023年はバイヤーが有利になる?
投稿者: Reina Matsunami 投稿日:
2023年はホームバイヤーの年?
現在の住宅市場ほど予測不可能な市場はないと言ってよいですが、数ヶ月にわたる乱高下を経て、住宅購入者、売却者、所有者、賃借人は今、不動産価格、在庫、販売、住宅ローン金利が来年どうなるかを把握するためにリアルター協会は、毎年恒例の住宅市場予測を発表しました。
結論から言うと 2023年に経済的な救済を期待する住宅購入者や賃借人は、おそらく失望することになるでしょう。
しかしながら住宅市場の劇的な変動や乱高下は、不動産市場が減速を続けるにつれて、先細りになると予想されます。
2023年予測では、住宅価格と賃貸料は来年も上昇を続けそうですが今年初めの高騰に比べればはるかに小幅な上昇にとどまると予想されています。住宅ローン金利は、全額現金で支払えない初回購入者などの悩みの種となっており、高止まりすることが予想されます。しかし、金利が再び大幅に上昇することはないと思われます。
高騰する住宅価格と高い住宅ローン金利の組み合わせは、購入者にとって負担が大きいため、販売数は減少を続けると予想され、住宅価格と賃貸料は夏場のピークから下がっていますが、前年比ではまだ上昇しています。
リアルター協会のチーフエコノミストは「住宅購入者、住宅販売者、そして住宅市場全体にとって、今年は厳しい年になりそうです」と語っており、”買い手と売り手のバランスが良くなるように、いくつかのステップを踏むことになるだろう “という見解です。
買手にとって明るい材料は、危機的水準に近いところで推移していた売り出し中の住宅数が、ようやく増加すると予想されることだ。しかし、それだけで、買手が市場に戻ってくるでしょうか?
住宅購入者、住宅販売者、賃借人が新年に期待することは、次の通りです。
予想に反して住宅価格は下がらないのではないか?
住宅ローンの高騰が住宅市場に大きな打撃を与えたとことで、特に初めての住宅購入者は、金利の上昇で月々の支払いが膨らむと、住宅を購入するための資金をそれほど用意できなくなります。しかし、来年の住宅価格は暴落しないと予想されています。
全米のリアルター協会は、2023年には前年比5.4%上昇すると予測しています。それでも買手には痛手ですが、COVID-19の大流行時の最中の2桁上昇には及ばないと予想されます。
住宅ローンの月々の支払額の中央値は、今年より約28%、2021年よりは2倍大きくなると予想され、住宅購入者がいかに疲弊しているかという観点で見ると10月下旬の月間住宅ローン支払額は2021年の約4分の3でした。
売手は、ほんの数ヶ月前に隣人が大儲けしたのを見て、希望価格をあまり下げたくないなかで、購入者数が住宅数を上回っています。
「住宅ローン金利がこれほど高いのに買い手が支払える金額は、売手が求めている金額と一致しないかもしれません」
住宅価格の伸びは今後も鈍化し、今後数年間は少し落ち込む可能性があるなかリアルター協会は、市場の調整は2025年まで続くと予想しています。
賃貸住宅に住む人々は、その多くがすでに価格ショックに悩まされており、全米では、2023年に家賃が前年比6.3%上昇すると予想されましたが、今年前半に経験した2桁上昇をはるかに下回る水準です。
家賃が高い大都市で、パンデミック(世界的な大流行)の際に、賃貸人が人口の少ない地域に逃げ込み、家賃が下落したかのように見えましたが、その時は家主は家賃を下げ、借主が戻ってくると、次はまた上げ、更に即上昇させるということを繰り返しました。2023年には、郊外よりも都市部の方が、家賃の上昇余地が大きいかもしれません。
住宅ローン金利は不機嫌に高いまま
住宅ローン金利の高騰は、住宅市場の停滞を招き、多くの購入希望者は予想以上に長く賃貸住宅に住み続けることを余儀なくされています。金利が下がれば、再び住宅購入に踏み切ろうと考えている人は多いが、思ったより長く待たなければないかもしれません。
リアルター協会は、2023年の住宅ローン金利は平均7.4%で、年末までには7.1%に下がると予測しています。
金利が高止まりするのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のおかげですが、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを抑制するために金利を引き上げると、住宅ローン金利も同じように上昇基調をたどってきており、FRBは今後も利上げを継続する意向のようです。
FRBの行動は住宅ローン金利を左右する一要素に過ぎないが、今年は重要な要素として浮上し、そのために、金利は数週間前の7%前後を維持し、インフレが冷え込む兆しを見せた後は6%台半ばまで下がると予想されます。
売りに出る住宅が急増する?
長い間、選択肢が少ないことに不満を感じていたバイヤーにとって明るい兆しは、より多くの住宅が販売されるようになることです。物件の在庫は22.8%急増すると予想されています。
(これは、中古住宅(以前から住んでいた住宅)だけを含み、新築は含みません)
しかし、この急増は、家を売りに出す売り手が増えるからではなく、住宅ローン金利が高いため、住宅を購入できる買い手が少なくなり、住宅は長く市場に置かれることになると予想されるのでその分在庫が増えるおちうことです。
このように住宅が不足しているにも拘らず、建設業者は2023年にそれほど多くの住宅を建設しないと予想され、住宅ローン金利が上昇すると、購入者が住宅を購入できなくなり、顧客層が枯渇し新規建設は前年比で約5.4%減少すると予想されています。購入者が購入できる価格で建設できず、土地代、資材代、人件費が高すぎて建築許可や着工する住宅は減少しています。
一方、住宅販売数は減少するだろうか?
買手が市場から離れ続けるため、住宅販売数は減少し続けることが予想されます。2022年の販売件数は前年比13.8%減、2023年は14.1%減と減少が続くと予想され、来年の販売件数は453万件にとどまり、大不況の真っただ中にあった2012年以降で最も少ない販売件数になるでしょう。(この予測は中古住宅のみを対象とし、新築は除外しています)
協会は買手が価格と住宅ローン金利の上昇に抵抗するため、通常は忙しい春のシーズンは2023年には通常より静かになると予想しており、賃貸住宅に住む人々は、インフレに伴う家賃の上昇と戦いながら、すでに手狭になっており、マイホームの頭金を貯めるのは困難な状況です。
住宅所有者の多くは、そのまま住宅市場の嵐を乗り切りそうですが多くの人が超低金利の住宅ローンに縛られてるので、住宅を売却し大幅に金利の高い新しい住宅を購入することを考え直すことになります。例えもっと小さな家にダウンサイジングするとしても、そのためにかなりのコストがかかる可能性があります。
アメリカの住宅保有率は基本的に横ばいで、2022年の65.8%から2023年には65.7%に下がると予想されていますが、 それでも、売却する人はうまくいくでしょう。
平均的な住宅所有者は、2023年に25,650ドルも資産が増加することになりそうで国内のより手頃な地域の人々は、高価格帯の市場から安価な市場に移転し、価格をつり上げるため、さらに高い利益を得ることができます。
深刻な不況は、これらの予測を覆す可能性がある
協会は、米国が大不況に陥るとは予想していませんが、エコノミストは完全に否定しているわけではないようです。
通常、景気後退局面では、FRBが金利を引き下げ、住宅ローン金利、価格、住宅販売が下落する可能性があります。
金利が下がればすぐに市場に飛び込む買手もいるでしょうが、仕事が安定しない不況時に人生最大の買い物をしたくないと考える買手もいるでしょう。また、失業したり、残業や副業を失ったり、住宅購入に手が届かなくなる人もいます。
価格が下がれば、買い手は戻ってくるかもしれませんが、より深刻な不況になれば、販売数は減るでしょう。
いかがでしたでしょうか?
今は全くアメリカへの移住後の生活が想像つかないという方でも、これからもうすぐ移住予定という方でも、知っていて損はない情報かと思います。アメリカへの移住は大きな決断です。失敗のないよう、知識もしっかり身につけていきたいですね。
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