富裕層は「リッチセッション」に備えが必要?
投稿者: Reina Matsunami 投稿日:
富裕層は「リッチセッション」に備えが必要?
高所得の米国人の痛みがより大きくなるかもしれない。
通常の景気悪化は、貧困層に悲惨な影響をもたらし、中間層は困ることになり、富裕層は不便を感じる程度ですむ。だが2023年に米経済が景気後退入りすれば、あるいは辛うじてそれを回避できたとしても、通常より大きな打撃を被るのは富裕層かもしれない。
これは「リッチセッション」(富裕層中心の景気後退)とささやかれている。
ごく一部の禁欲主義者を除けば、貧乏を好む者は誰もいない。もし病気や失業などの挫折に直面すれば、立ちゆかなくなるほど蓄えが乏しい状態では、常にストレスの原因が付きまとう。だが多くの裕福でない人々は、新型コロナウイルス危機が起きてからの数年間、それ以前に比べて経済的にやや余裕が生じている。コロナ流行の初期は政府の救済措置が何度も講じられたおかげで乗り切り、現在は雇用市場のひっ迫による賃金上昇でインフレの悪影響が緩和されている。米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、所得水準で下位20%の世帯の純資産は昨年7-9月期に2019年末より42%増加し、21年末より17%増加した。アトランタ地区連銀の賃金トラッカーによると、所得水準で下位4分の1に属する労働者の昨年11月の賃金伸び率(12カ月移動平均、年率)は7.4%だった。
ただし注意したいのは、富裕層の賃金伸び率は、高水準のベースから算出するため、控え目な数字になるという点だ。上位20%の世帯の純資産は7-9月期にはコロナ前より22%増加したものの、2021年末よりは(株価下落が響いて)7.1%減少した。アトランタ連銀の指標によると、上位4分の1に属する労働者は、昨年11月の賃金伸び率が4.8%にとどまった。
最近の人員削減についても、所得の高いホワイトカラーが角に大きい影響を受けている。
相次ぐ人員削減の発表で話題を呼んだIT(情報技術)企業の多くは、給与水準が極めて高い。例えば、証券当局への提出資料によると、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズでは従業員の2021年の年収中央値が29万5785ドル(現在のレートで約3876万円)、ツイッターでは従業員の年収中央値が23万2626ドルだった。また一般的な従業員の給与水準がそれほど高くないアマゾン・ドット・コムなどでは、ホワイトカラーが人員削減の標的となっている。
高所得者の失業に関して慰めとなるのは、より低所得の労働者よりも再就職が比較的容易とみられることだ。高学歴労働者の職業技能は、他の労働者よりも一般に転職で生かされやすい。ただ、彼らはそれでも一定期間、倹約を強いられるだろうし、転職先では前職ほど高い給与が支払われないかもしれない。
一方、大企業の人員削減が注目を集めているにせよ、今のところ、全体的な雇用データはさほど落ち込んでいない。
その一因として株式市場にあまり反映されない低中所得者層を多く採用する業界で、今も人材確保が難しい状況がある。
レジャー・ホスピタリティー産業では、11月時点で2020年2月の雇用水準に比べて98万人不足していた。
医療・社会的支援の分野では、昨年9月にようやくコロナ前の水準まで回復した。高齢化社会のニーズもあり、2008年の金融危機後に米国の全体的な失業率が急上昇した中でも、この職種は雇用が伸びていた。コロナ前の10年間の成長軌道に戻すためには、さらに約110万人採用する必要があるだろう。
こうした労働者に対するニーズ――特に米国人が外食などのサービス産業に関わる機会が増えているため――は、年内の景気後退入りを予想するエコノミストの間でさえ、雇用市場が深刻な打撃を受けることはないとの見方が優勢である理由の一つだ。そう考えると、米国の貧困層は弱い経済に対処するために通常より有利な立場にある。彼らは比較的良好な財務状況にあるばかりか、深刻な雇用喪失に見舞われる公算は小さいと考えられるからだ。
新年の展望としては、富裕層御用達の企業がこれから失望を味わうかもしれない。一方、気取った人々よりも庶民を大事にする企業には追い風が吹くかもしれない。そして景気後退に陥った場合、米経済は通常よりもはるかに平等な立ち位置で回復し始める可能性がある
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